ものづくりをされているFab-core利用者の方々を紹介していく企画。第2回。(第1回目の記事はこちら)
毎日、いろんなモノづくりをされている方がFab-coreにやってきて、機器を利用しています。しかし、Fab-coreの機器だけで全て完成してしまうことはほぼなくて、Fab-coreがスタッフが見ているのはいつも出来上がり前の途中の段階。皆さんFab-coreで加工したものを持ち帰り、さらに手を加えて完成品を作っていらっしゃいます。写真などで完成したものを後日見せてもらうと、工夫次第で素敵な商品に変わっていて驚かされます。
そんな、利用者の方々を訪問し、どういう風に商品が生まれていくのか見に行きたいと思います。
第2回目は大垣市に本社がある有限会社早野研工さんの養老工場にお邪魔しました。
早野研工さんは金属加工を専門に行っている企業です。Fab-coreではレーザー加工機を使ってウレタンのスポンジの加工をされています。金属加工をされている企業なのに、なぜウレタンなのでしょう?
それは、金属で作った麻雀牌と将棋の駒を販売されていて、そのパッケージの緩衝材としてウレタンを使っているのです!
(写真:有限会社早野研工 金の牌 金メッキの麻雀牌。Fab-coreでは、この牌をぴったり収めるためのウレタンの加工に利用されています)
金属でできた金ピカの麻雀牌を作って販売しているというのも面白いですけれど、早野研工さんのウェブサイトをみると、ファイバーレーザー、金属加工という文字があって、とても気になっていました。
Fab-coreのレーザー加工機では金属は加工できないのです。しかし、「金属が加工ができないのか?」という問い合わせは度々あります。金属加工ができるファイバーレーザーってどういうものなのか、どうして金属の麻雀牌を作っているのか、興味が尽きないので会社訪問してお話を伺うことになりました。
Fab-coreを実際に利用している総務の早野さんにお話を伺いました。
ファブコア(以下F):本日は、お時間いただきありがとうございます。早野研工さんは、今年初めからご利用いただき、数ヶ月単位で定期的に利用していただいているのですが、Fab-coreを利用したきっかけというか、そもそもFab-coreのことはどうやって知りましたか?
早野さん(以下H):商工会でチラシをもらって知ったと思います。
F:この記事をご覧の方は早野研工さんをご存知ない方もいらっしゃると思いますので、どういうお仕事されている会社なのか教えていただけますでしょうか。
(写真左上:叩き出し、板金加工など、右上:ファイバーレーザーで加工したもの、左下:溶接して作ったウクレレ。継ぎ目がわからない!、右下:開発中のペット用品)
H:当社では、車のトランクに使われるヒンジの試作や新幹線、電車、建設機械の重機などの金属部品の試作や、量産を行なっています。一般の方がよく目にするわかりやすいところですと、オーディオケースや消火器Box,スチール家具やスーパーのレジカウンターも作っています。
鉄だけでなく、アルミやステンレス、真鍮や銅の加工もできますし、もともと試作品を作っていた会社なので、CADでの設計から加工まで幅広い技術を持っています。多品種少量で数十個単位の小ロットの加工も対応できます。
F:ホームページを見させていただいたのですが、カードゲームのカウンターといったニッチなものも作っていらっしゃいますよね。それは、どういうところから始まったのですか。
(写真:金属でできたカードゲーム用カウンター)
H:以前は依頼されたものを作ることが多かったのですが、リーマンショックをきっかけに、新しいもの作りにも挑戦しています。毎年出展する展示会のために、技術力を身近なもので表現できないかと社員のアイデアから作り始めました。
(写真:金属製の将棋の駒と麻雀牌)
例えば、この麻雀牌や将棋の駒も展示するためだけに作ったのですが、どこで買えるのかという声をたくさんいただいたので、当社のHPで販売することになりました。
F:主な業務は、BtoBだと思うのですが、金属の将棋の駒のようにコンシューマー向けビジネスも考えていらっしゃるという事でしょうか?
H:製造が主な会社ですので、販売やデザインは苦手なのですが、自社で新しい商品を開発、BtoCにも力を入れていきたいと思っています。
また、どこでも人手不足が問題ですが、ニッチなモノづくりをしていると就職説明会で自分のアイデアが形になる、というアピールをすることでモノづくりに興味のある人が集まって来てくれます。
(写真左:上ファイバーレーザー、下CO2レーザーの違い。写真右:ファイバーレーザーでここまで細かくカットできる)
H:今年は、会社ができて30年です。先代の社長が太平洋工業から独立し会社を起業しましたが、起業後4年で急逝し、先代社長の息子である現在の社長がまだ24歳の時に会社を引き継ぎました。当時社員もほとんどやめてしまって、10年ほど前までは家族経営のような感じでした。いまでは設備や社員も増え、新しいことにも挑戦しています。これからもモノづくりの魅力を発信する取り組みを続けていきたいです。
F:では、最後にFab-coreにリクエストなどありましたら。
H:発注すると大量に作らないとダメですが、小ロットで自分で手軽に利用できる場所なので助かっています。
お話を伺った後、養老工場を見学させていただきました。
(写真:ファイバーレーザ。部屋丸ごと見えている部分が全部がファイバーレーザーの機械。右側の赤いラック部分は材料をセットするところ)
ファイバーレーザーが思った以上に大きくてびっくりしました。データをプログラムして材料をセットしておけば、24H自動で加工してくれます。このファイバーレーザーのお値段は1億円超だそうです!!
(写真左上:バリ取り機、右上:3Dレーザー、左下:ファイバーレーザーを前から見たところ、右下:ファイバーレーザー加工の様子)
金属加工のサンプルをいただいたので、Fab-coreで展示しています。金属のレーザー加工に興味のある方は手にとって確かめていただけたらと思います。
(写真:養老工場外観)
有限会社早野研工
〒503-0965 岐阜県大垣市多芸島1-86-2
http://www.hayanokenko.co.jp
金メッキの将棋の駒と麻雀牌をご購入になりたい方は、トップページ下のオンライン ショップ欄からそれぞれの販売ページにリンクがあります。